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新NISAで暴落が怖い人へ:積立額を下落耐性から決める

「NISAを始めたものの、暴落したら怖くなって売ってしまいそう」「毎月いくらまで積み立ててよいのか分からない」。この悩みに、万人共通の正解額はありません。収入、生活費、家族構成、近い将来の支出が違うからです。

ただし、決め方には順序があります。目標額と期待リターンだけから逆算すると、下落時にも保有を続けられるかという確認が抜けやすくなります。先に「どこまで減っても家計に無理が生じず、保有を続けられるか」を考えると、無理なく続けられる金額を見つけやすくなります。

月3万円なら平気?

  1. タヌキ: 月3万円。これなら平気

    積立設定をしながら

    1
  2. ラッコ: 10年続けたあとも?

    2
  3. タヌキ: 減ってたら……いくらだ

    3
  4. ふたり: ……画面、閉じそう

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結論|新NISAの積立額は、相場の予想だけでなく家計の下落耐性も踏まえて決めます。生活に必要な現金を分け、残りのリスク資産が、例えば20%・40%・60%下落した場合の損失額を計算します。持ち続けるのが難しい金額になるなら、積立額か運用中の残高を見直します。

ここでいう リスク資産 は、株式投資信託など、価格が上下し元本割れしうる資産です。NISAは運用益を非課税にする制度であり、損失を防ぐ制度ではありません。

「毎月いくら」より、まず運用中の残高を見る

月3万円なら無理なく積み立てられそうに見えても、10年続ければ元本だけで360万円です。相場が上がれば、運用中の残高はさらに大きくなります。暴落時の含み損は、毎月の積立額ではなく、その時点で値動きにさらされている残高に対して生じます。

たとえばリスク資産が500万円あるとします。下落率ごとの評価損は次のとおりです。

リスク資産500万円に下落シナリオを当てた場合

将来予測ではなく、耐えられる金額を考えるためのストレステストです。

20%下落-100万円
40%下落-200万円
60%下落-300万円

計算: 500万円 × 下落率。シナリオは説明用であり、下落幅の上限を示すものではありません。

40%下落で200万円の含み損が出た口座画面を見ても、生活費に困らず、積立を続けられるでしょうか。60%下落ならどうでしょうか。将来の最大下落率を正確に予測することはできません。だからこそ、複数の厳しいシナリオで試します。

含み損は、売却しない限り確定した損失ではありません。しかし、住宅の頭金や大学費用の支払い直前に下落すると、回復を待てない可能性があります。「いつか戻るかもしれない」と「必要な日に使える」は別の話です。

生活防衛資金は、投資資金と分ける

生活防衛資金とは、失業、休業、家電の故障、引っ越しなどに備えて確保しておく、すぐに使える現金です。「生活費の何か月分が唯一の正解」という公的ルールはありません。雇用の安定性、共働きかどうか、扶養家族、住宅ローン、医療費、近い将来の予定で必要額は変わります。

考えやすくするために、まず次の3つに分けます。

  1. 日常のお金:今月の生活費、カード引き落とし、納税など。
  2. 数年以内に使うお金:教育費、住宅購入、車、引っ越しなど。
  3. 長く使わないお金:下落しても回復を待てる資金。

株式投資に回す候補は、基本的に3つ目です。1つ目や2つ目の資金まで投資すると、下落時に売却を迫られます。積立を増やす前に、生活防衛資金と予定支出を普通預金など値動きのない場所へ分けるほうが先です。

許容できる損失から、リスク資産の上限を逆算する

仮に「一時的な評価損は120万円までなら耐えられる」と考え、40%下落をストレスシナリオに設定するとします。リスク資産の上限は、単純計算で300万円です。

この計算は、心理面だけの問題ではありません。120万円の評価損が生じても、予定支出を投資資産から取り崩さずに賄えるか、保有を続けられるかを確かめます。「怖いけれど生活には困らない」と「生活費が足りなくなる」では、必要な対策が異なります。

この計算だけで、毎月の積立額が一意に決まるわけではありません。現在の残高と上限との差を確認し、次回の見直しまでに積み立てる額を家計の余力内で決めます。

上限に近づいたからといって、機械的に売却する必要があるとは限りません。今後の積み増しを抑えたいなら、毎月の積立額を減らす、いったん止める、現金の積み増しを優先するといった方法があります。一方、予定支出や許容できる損失額を超えているなら、売却や資産配分の見直しも検討します。

積立投資で解決できること、できないこと

米国証券取引委員会の投資家向けサイト Investor.gov は、Dollar Cost Averaging を、相場の上下にかかわらず、一定額を定期的に投資する方法と説明しています。価格が低いときには多く、高いときには少なく買うことになります。

積立には、買うタイミングを毎回悩まずに済む利点があります。しかし、損失をなくす仕組みではありません。値下がり局面では残高も下がります。将来使う予定のあるまとまった資金を、小分けにして投資しただけで値動きのない資産へ変わるわけでもありません。

暴落時に決めないためのルール

相場が下がった当日に、ニュースやSNSを見ながら方針を決めるのは難しいものです。平時に短いルールを書いておきます。

  • 数年以内に使う資金は、最初から株式投資へ回さない。
  • 下落シナリオを見て耐えられない金額まで増やさない。
  • 積立額は、教育費や住宅費の増加に合わせて減額・停止してよい。
  • 生活防衛資金が減ったら、投資より現金の回復を優先する。
  • 使う時期が決まっている資金は、直前ではなく数年前から値動きのない資産へ移す。

「積立を止めたら負け」ではありません。人生のために投資をしているのであって、投資のために生活を細くする必要はありません。

NISAの枠は、使い切らなくてよい

2026年5月31日に確認した金融庁の公式ページでは、NISAは1人あたり、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると年間最大360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。売却した商品の簿価分は翌年以降に再利用できます。大きな枠ですが、使い切ること自体に価値があるわけではありません。必要な現金を残したあと、長期で持てる分だけ使います。

理屈っぽい人のための補足

期待リターンだけでは、支出時期のリスクを捉えられない

長期の資産形成では、期待リターンが高い資産を多く持つほど、計算上の将来資産は大きくなります。しかし、価格経路は一直線ではありません。大きく下がった時期に支出が重なると、安値で売る必要が生じます。これは、リターンの順番によって結果が変わるリスクの一例です。

同じ平均リターンでも、必要な支出の直前に下がる場合と、支出後に下がる場合では生活への影響が違います。単一の年利だけを置いたシミュレーションは分かりやすい反面、この違いを省略しています。

ストレステストは、家計の制約を数字に置き換える

ストレスシナリオで生じる評価損は、「運用中のリスク資産残高 × 想定下落率」です。したがって、許容できる評価損が決まれば、「許容できる評価損 ÷ 想定下落率」でリスク資産の上限を逆算できます。

ここで使う想定下落率は、将来の値動きを当てるための予測値ではありません。複数の下落率を当てはめ、どの水準で家計や心理面に無理が生じるかを確認するための条件です。許容できる損失額が同じなら、厳しい下落率を想定するほど、持てるリスク資産の上限は小さくなります。

簡易計算では、下落が続く期間、収入減との同時発生、株式と債券などの資産配分の違いを扱いません。心理的に保有を続けられる上限と、予定支出を守れる家計上の上限を分け、低いほうを基準にします。

積立額と残高は別々に調整する

毎月の積立額は新たに投資するお金の流れであり、運用中の残高はすでに値動きにさらされている資産の総額です。積立額を減らしても、保有済みの資産が受ける下落リスクは消えません。

家計で教育費が増えたときは、まず毎月の新規積立を減らし、今後の残高の増え方を緩やかにします。大学の入学金などまとまった支出は、必要な時期が近づく前に、段階的に値動きのない資産へ移します。

シミュレーターで資金残高を確かめる

積立シミュレーターでは、積立の減額・停止と一時引き出しを別のイベントとして設定できます。住宅費や子どもの年齢も入れ、一定の想定利回りに基づく将来の資金残高を同じ時間軸で確認してください。相場の上下を再現するものではないため、本文のストレステストと併用します。

参考・出典

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言ではありません。最終的なご判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談ください。