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ドルコスト平均法は有利?一括投資と積立投資の違いを整理する

「まとまった預金をNISAで運用したい。でも、いま一括で買って直後に下がったら後悔しそうだ」。この不安に対して、ドルコスト平均法なら安心だと説明されることがあります。

ここで、二つの話を分ける必要があります。毎月の給与から無理のない額を積み立てることと、すでに投資へ回せる資金を持ちながら、あえて数か月に分けて投資することは同じではありません。

分ければ安心?

  1. タヌキ: 120万円、12回に分けよ

    通帳を見ながら

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  2. ラッコ: もう手元にあるのに?

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  3. タヌキ: 下がるとこわいし

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  4. ラッコ: 安心代なら、わかる

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結論|毎月の収入から積み立てる仕組みは、資産形成を続けるうえで役立ちます。一方、すでに投資へ回せる資金があり、投資額と資産配分も決まっているなら、分割投資が一括投資より有利になるとは限りません。分割投資は、期待収益を高める方法というより、一括投資への不安を和らげて実行しやすくする方法です。

ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資する方法

ドルコスト平均法とは、相場の上げ下げにかかわらず、一定額を定期的に投資する方法です。米国証券取引委員会の投資家向けサイト Investor.gov も、この意味で定義しています。同じ金額で買うため、価格が低いときには多くの口数を、価格が高いときには少ない口数を買います。

たとえば毎月3万円を投資するなら、基準価額が下がった月には多く買えます。この仕組みは直感的に分かりやすく、給与日に自動で買い付ける設定とも相性がよいものです。

ただし、「安いときに多く買える」ことだけで、一括投資より有利だとは言えません。投資を分けている間に相場が上がれば、まだ投資していない現金はその上昇の恩恵を受けられないからです。

毎月の積立と、手元資金の分割投資は分けて考える

毎月の給与から3万円を積み立てる人は、将来の給与を今日まとめて投資できません。入金されるたびに投資するのが自然です。これは、生活の中で貯蓄と投資を自動化する仕組みです。

一方、普通預金に300万円あり、そのうち120万円を長期投資へ回すと決めた人は、別の判断をしています。今日120万円を投資するか、毎月10万円ずつ12か月に分けるかを選べます。後者では、未投資の現金をしばらく保有することになります。

Vanguardが2023年2月に公表した研究は、この「すでに投資可能な一括資金を、すぐ投資するか、一時的に現金で保有しながら分けて投資するか」を比較しています。1976年から2022年までのMSCI World Indexを使い、100%株式、1年間の運用期間、3か月の分割投資という条件で比べると、一括投資が分割投資を上回った割合は68%でした。分割投資も、現金のまま保有する方法を69%の期間で上回っています。

一括投資・3か月分割投資・現金保有の比較

各方法が比較対象を上回った期間の割合。過去データによる比較であり、将来の成果を保証するものではありません。

一括投資が3か月分割投資を上回る68%
3か月分割投資が現金保有を上回る69%
一括投資が現金保有を上回る70%

出典: [VANGUARD-CA-2023] Vanguard。MSCI World Indexの1976-2022年データ、100%株式、1年間の運用期間、3か月分割投資。未投資部分の利息を考慮しない比較。

この数字は、「一括投資なら必ず勝てる」という意味ではありません。Vanguardの比較でも、相場が大きく下がる局面では分割投資が有利になる場合があります。過去の成績は将来を保証しません。ここから読み取れるのは、分割投資には、現金で待つ期間に株式などの期待収益を受け取れない機会費用がある、ということです。

分割投資には、心理面での役割がある

期待値だけなら一括投資を選べる状況でも、投資直後の値下がりに耐えられず、売却してしまうなら計画は続きません。Vanguardの研究も、損失への抵抗感が非常に強く、一括投資を避けて現金のまま持ち続けてしまう投資家にとって、分割投資が選択肢になり得ると述べています。

つまり、分割投資は「平均取得単価を下げる必勝法」ではありません。一括投資の値動きが気になって実行できないときに、数か月など期限を決めて投資へ回していく方法です。

期限を決めないまま「もう少し下がったら買う」と待つと、相場のタイミングを予想することになります。下落後には、さらに下がりそうに見えるものです。上昇後には、高値づかみが怖くなります。投資へ回すと決めた資金を現金で持ち続ける状態は避けたいところです。

積立のグラフでは、元本と運用損益を分けて読む

積立投資のシミュレーションでは、残高が時間とともに大きく増えるグラフが表示されます。しかし、残高の変化には二つの要素があります。

  1. 自分が毎月入金した元本が増える。
  2. 投資した資産の値動きによって、運用損益が生じる。

毎月5万円を20年間積み立てると、運用成績が0%でも元本は1,200万円です。残高のグラフだけを見ると、投資の効果を大きく感じやすくなります。元本と運用損益を分けて読むと、相場変動によるリスクも把握しやすくなります。

また、現在の下落リスクは、過去の買い方だけでは決まりません。いま株式投資信託を500万円保有しているなら、今後の値下がりは、その500万円に対して生じます。以前に一括で買ったか、長年積み立てたかで、現在の残高が受ける値動きが消えるわけではありません。

この点は、新NISAで暴落が怖い人へ:積立額を下落耐性から決めるでも詳しく説明しています。

NISAの枠より、家計とリスク許容度を先に考える

2026年5月31日に確認した金融庁の公式ページでは、NISAの年間投資枠は1人あたり最大360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。しかし、枠を早く使い切ること自体が目的ではありません。

住宅の頭金、大学費用、生活防衛資金など、数年以内に使うお金は、株式投資とは分けておくほうがよいでしょう。投資に回す候補は、必要になる時期まで時間があり、相場が下がっても売却を急がずに済む資金です。

まとまった資金を投資する前に、次の順番で考えます。

  1. 生活防衛資金と数年以内の予定支出を、普通預金などへ分ける。
  2. 投資した直後に40%程度下がるシナリオでも、生活に無理がない総額を決める。
  3. 一括投資を選べるか検討する。不安が強いなら、総額と期間を決めて分割する。
  4. 給与からの積立は、家計の変化に応じて減額・停止してよい。

理屈っぽい人のための補足

分割投資では、平均すると値動きの影響を受ける金額が小さくなる

すでに投資可能な資金を持っている場合、一括投資と分割投資の差は、値動きの影響を受ける金額と時間の差です。120万円を今日まとめて投資すると、初日から120万円が値動きの影響を受けます。120万円を3回に分け、今日、1か月後、2か月後に40万円ずつ投資すると、最初の1か月は40万円、次の1か月は80万円、その後は120万円が値動きの影響を受けます。

期待リターンが正であると仮定するなら、平均的には、より長く投資されている方法の期待資産額が大きくなります。ただし、値下がり局面では、値動きの影響を受ける金額が小さい分割投資の損失も小さくなります。分割投資は、期待収益を増やす手法ではなく、投資開始直後のリスクを一時的に小さくする手法だと整理できます。

「取得単価が下がる」と「期待収益が高い」は別の命題

定額で買うと、価格が安いときに多くの口数を買えます。しかし、どの価格経路が起きるかを事前には知りません。価格が下がってから回復する経路では分割投資が有利になりやすく、価格が上がり続ける経路では早く買った方法が有利になりやすくなります。

取得単価は、過去の売買結果を説明する数字です。今後保有を続けるかを判断するときは、取得単価だけでなく、現在の評価額、資産配分、今後使う予定の資金、税金を考えます。

過去データは判断材料であって、保証ではない

Vanguardの68%という数字は、1976年から2022年までのMSCI World Indexを使った比較です。将来も同じ割合になるとは限りません。金利、株式の期待リターン、投資期間、分割する月数によって結果は変わります。

それでも、未投資資金を現金で持つ期間には機会費用がありうる、という構造は変わりません。一括投資か分割投資かは、将来を当てる問題ではなく、期待収益と一時的な損失への耐性をどう両立させるかという問題です。

シミュレーターで積立額の変化を確かめる

積立シミュレーターでは、毎月の積立額、運用中の残高、積立の減額・停止、一時引き出しを分けて設定できます。教育費や住宅購入を入れると、積立を続けられる時期と減らしたい時期を確認できます。一定利回りによる試算なので、本文で挙げた下落ストレステストもあわせて行うとよいでしょう。

参考・出典

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言ではありません。最終的なご判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談ください。