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アクティブファンドはインデックスに勝てる?手数料と成績をデータで考える

「インデックスファンドは平均点にすぎない。よい運用者を選べば、アクティブファンドのほうが増えるのでは」。この疑問は自然です。実際に、市場平均を上回るアクティブファンドは存在します。

しかし、資産形成で必要なのは、過去に勝ったファンドを探すことではありません。これから勝つファンドを、購入前に選べるかどうかです。その判断には、華やかな運用ストーリーより、コストと比較データが役に立ちます。

そのファンド、どう選ぶ?

  1. タヌキ: 去年の1位、見つけた

    ランキングを眺めながら

    1
  2. ラッコ: 来年も1位?

    2
  3. タヌキ: ……それは未来の話

    3
  4. ラッコ: 手数料なら、今わかる

    4

結論|低コストで広く分散されたインデックスファンドを、資産形成の中核にする方法には合理性があります。アクティブファンドのなかに市場平均を上回る商品があることと、それを事前に再現性のある形で選べることは別です。選ぶなら、過去の順位だけでなく、比較対象、コスト、運用方針、資産の集中度を確かめます。

アクティブファンドとインデックスファンドの違い

インデックスファンドとは、TOPIXやMSCI ACWIなど、あらかじめ定められた指数への連動を目指す投資信託です。個別企業の将来を当てるより、市場全体または広い範囲を保有することを重視します。

アクティブファンドとは、銘柄や比率を選び、基準とする指数などを上回る成果を目指す投資信託です。企業調査、銘柄選択、売買の判断に運用者の考えが反映されます。

アクティブ運用そのものが無意味なのではありません。市場価格が形成されるには、企業価値を調べ、売買する参加者が必要です。また、実際に優れた成績を残す運用者もいます。

個人の資産形成で難しいのは、コスト控除後でも市場平均を上回れるファンドを、投資前に見極めることです。

平均で考えると、コストの差は避けられない

William F. Sharpeは1991年の論文「The Arithmetic of Active Management」で、アクティブ運用とパッシブ運用の関係を算術として整理しました。

ある市場に存在する株式を、誰かが市場平均より多く持てば、別の誰かは少なく持ちます。投資家全体の保有を合計すると、市場そのものになります。したがって、コスト控除前では、平均的なアクティブ運用のリターンは、平均的なパッシブ運用のリターンと一致します。アクティブ運用のコストが相対的に高ければ、コスト控除後の平均リターンは低くなります。

これは、どの銘柄が上がるかという予測ではありません。市場参加者全体を合計したときに成り立つ関係です。

投資信託のコストは、保有中も差し引かれる

一般社団法人資産運用業協会は、投資信託のコストとして、購入時手数料、運用管理費用(信託報酬)、監査報酬、売買委託手数料、換金時にかかる場合がある信託財産留保額を挙げています。

なかでも、保有期間中に信託財産から差し引かれる運用管理費用は、長期投資で無視できません。年率の差が小さく見えても、残高に対して毎年かかるためです。

次は、1,000万円を20年間保有し、コスト控除前の運用利回りを年4%と仮定した説明用計算です。税金、追加投資、相場変動は省略しています。

年率コストの差が20年後の残高に与える影響

1,000万円を20年間保有し、コスト控除前の運用利回りを年4%とした説明用シナリオです。

年率コスト 0%2,191万円
年率コスト 0.2%2,108万円
年率コスト 1.0%1,806万円
年率コスト 1.5%1,639万円

計算: 1,000万円 × (1 + 4% - 年率コスト)^20。投資信託のコスト項目: [IMAJ-FUND-COSTS-2026]。将来の運用成果を示すものではありません。

年率コスト0.2%と1.5%の差は、20年後の残高で約469万円です。もちろん、実際のリターンは一定ではありません。それでも、コストは将来予測なしに確認できる数少ない項目です。

SPIVAでは、15年間で多くがベンチマークを下回った

S&P Dow Jones Indicesは、アクティブファンドと各カテゴリーのベンチマークを比較するSPIVAスコアカードを公表しています。2025年12月31日時点の日本スコアカードでは、日本で提供されるファンドについて、15年間でベンチマークを下回った割合が次のように示されています。

15年間でベンチマークを下回ったアクティブファンドの割合

日本で提供されるアクティブファンドをカテゴリーごとの比較指数と対比した集計です。

日本株式全体76.04%
日本大型株80.38%
日本中小型株68.29%
グローバル株式100.00%
米国株式95.24%

出典: [SPDJI-SPIVA-JAPAN-2025] S&P Dow Jones Indices「SPIVA 日本スコアカード」。2025年12月31日時点。絶対リターンに基づく比較。

この図は、「どの期間でも、すべてのアクティブファンドが負ける」と言っているのではありません。2025年の日本大型株カテゴリーでは、ベンチマークを下回ったファンドは49.17%で、過半数のファンドが上回りました。短期では、カテゴリーごとに結果が変わります。

一方、15年間で見ると、図に示したすべてのカテゴリーで過半数がベンチマークを下回りました。SPIVAは、途中で償還または統合されたファンドも考慮し、生き残ったファンドだけで比較する偏りを避けています。比較指数もカテゴリーごとに分けています。

インデックスファンドなら何でもよいわけではない

インデックスファンドにも違いがあります。連動を目指す指数、運用管理費用、売買コスト、純資産総額、為替ヘッジの有無、対象資産は商品ごとに異なります。

「インデックス」と書いてあれば、自動的に低コストで十分に分散されているわけではありません。テーマ型指数など、特定の業種やルールに基づく銘柄群へ偏る商品もあります。資産形成の中核にするなら、まず次の項目を確かめます。

  1. どの指数への連動を目指しているか。
  2. 指数は、国、業種、銘柄数の面で十分に分散されているか。
  3. 運用管理費用と、そのほかの実質的なコストはどの程度か。
  4. 目論見書と運用報告書で、指数との乖離や費用を確認できるか。

アクティブファンドは、家計に影響しない範囲で選ぶ

低コストの分散投資を中核にしたうえで、運用方針に納得できるアクティブファンドを一部に組み入れる考え方はあります。その場合も、「市場平均を上回ることが確実だから」ではなく、上回れない可能性とコストを理解したうえで選びます。

老後資金、教育費、住宅資金など、失敗すると生活に影響するお金まで、根拠の薄い期待に任せる必要はありません。資産形成では、予想を当てることより、期待どおりにならなくても家計が困らない設計が大切です。

理屈っぽい人のための補足

Sharpeの算術が対象にするのは、「平均的な1円」

市場全体を、パッシブ運用の保有分とアクティブ運用の保有分に分けます。市場全体に占める比率をそれぞれ w_Pw_A、リターンを r_Mr_Pr_A とすると、次の関係が成り立ちます。

ここでいう平均は、ファンドを1本ずつ数えた単純平均ではなく、運用額で加重した「平均的な1円」のリターンです。この関係は、個別ファンドの成績を予測するものではありません。市場平均を上回るファンドがあれば、同じ市場のどこかに下回る保有分があります。

SPIVAの数字は、Sharpeの算術とは分けて読む

Sharpeの算術は、市場全体の保有を合計したときに成り立つ関係です。一方、SPIVAは、日本で提供されるアクティブファンドをカテゴリーごとの指数と比較した実証データです。両者は関連しますが、SPIVAの結果がSharpeの算術をそのまま検証しているわけではありません。

SPIVA Japan Scorecard Year-End 2025では、アクティブファンドのリターンは費用控除後ですが、購入時手数料などは含みません。指数リターンからファンドの運用費用は控除されていません。また、グローバル株式など一部の指数には、指数算出開始前のバックテスト値が含まれます。途中で償還または統合されたファンドも集計に反映されています。

カテゴリーごとに比較指数も異なります。日本大型株はS&P/TOPIX 150、日本中小型株はS&P Japan MidSmallCap、グローバル株式はS&P Worldです。異なるカテゴリーの数字を単純に並べ、「どの市場ならアクティブ運用が優れている」と結論づけることはできません。

コスト差の試算は、一定利回りで単純化している

元本を B_0、コスト控除前の運用利回りを g、年率コストを c、保有年数を n とすると、本文の説明用シナリオは次の式です。

本文では B_0 = 1,000万円g = 4%n = 20年 としています。年率コスト0.2%と1.5%の差は1.3ポイントですが、20年後の残高では約469万円の差になります。

シミュレーターで手数料差の影響を考える

積立シミュレーターでは想定利回りを変更できます。手数料差を厳密に再現する専用機能ではありませんが、想定利回りを0.5%または1%下げ、長期の残高にどの程度影響するかを確認できます。

参考・出典

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言ではありません。最終的なご判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談ください。